首絞めからの離脱方法

DVに多いパターンの首絞めからの離脱方法をご紹介します。

様々な方向からの攻撃方法がありますが、今回は正面からの首絞めへの対処をピックアップします。

この攻撃は、冷静に考えると攻撃側は両手を使っていることになるので、金的等の急所に膝蹴りや前蹴りを打つことが比較的にしやすいといえます。

攻撃のために両手を使うということは、手を使う防御ができず(防御のために手を離すと首絞めは解除されます)、なおかつ体でかわすことも難しいのです。

しかし、今回は離脱時には打撃を使わないものをご紹介したいと思います。

正面から首を絞められ、後ろに押された場合、打撃を打ちながら解除することは難しくなるので、後ろに押された場合、押されなかった場合、どちらにも使える打撃なしのテクニックの方が身につきやすいからです。

テクニック

腕を一直線に斜め上に上げます。
※横から腕を回して上げないこと
この時、腕の力ではなく腰を回転させた勢いで腕を上げることが重要です。

相手の肘にエルボーを打ち腕を下げます。


相手の腕をエルボーで下げたら、そのまま顔に内回しのエルボーを打ちます。
外した側の腕と反対の腕はしっかりと手と体でホールドし、コントロールしましょう。
こうして相手の腕を使えなくします。

内回しのエルボーを打ちながら首に前腕をあて、首をコントロールしながら膝蹴りを打ち、その後も必要に応じて打撃を打ち、危険なゾーンから離脱します。

首絞めの怖さ

首絞めは、手首を掴まれたり、抱きつかれたり、髪を掴まれる等の行為に比べると非常に厄介で恐ろしい攻撃です。

時間の経過と共に意識を失ったり、窒息死することにもなります。

なぜ失神するのか?

喉仏の左右にある頸動脈洞を圧迫されると、脳へ行く血液が少なくなります。

血液量が減るということは、それに含まれている酸素も減ることになり結果、失神状態となるわけです。また、気道を絞め続けられれば死に至ります。

5秒がリミット!

大人の握力(30~50程度)で首を絞められると、5秒~7秒程度で失神するといわれています。

この数秒の間に解除しなければ意識を失い、さらなる暴行や連れ去り等、最悪の事態に発展する可能性もあります。

弱点は手首

首絞め攻撃の最大の弱点は指と手首です。

人間の指は5本に分かれており、さらに手首の可動域と密接な関係があるので、手首を曲げる角度によっては、「握る」という行動が難しくなります。

強い握力を無力化するには、それ以上の力を利用したプレッシャーをかけ、「握る」という行動を物理的に制限すればよいのです。

仮面ライダーになれ!

とても強い握力で首を絞められる・・・

どうすればそれを解除できるか。

それは、相手の手又は前腕よりも重く大きな力がでる体幹。

いくら強い握力であっても体の末端部分である指先は全身の力には勝てません。

この写真は、腕で外しているのではなく、肩と首で相手の手を挟み、腰を回転さてることにより圧を加えて剥がしているわけです。

反対に自身の腕を上げる時に、相手の腕とぶつかってしまうと、勢いが弱まり外れないことがあります。

あくまで肩を使う

まさに仮面ライダーの変身ポーズですね。

古すぎますかね…

終わりじゃない

首絞めから離脱してすぐに反撃を行わなければなりません。

相手の手は首から離れましたが、攻撃をやめるほどのダメージは何も受けていないので、その後も攻撃をしかけてくるからです。

離脱した後は相手との距離が近いため、至近距離でも打つことのできる、肘打ち、ハンマーフィスト、膝蹴り等の連続攻撃で相手の戦意を喪失させます。打撃を打つ時は必ず”急所”を狙うことが重要です。

タイムライン

体術を使う護身術は最後の手段であり事後対処です。

”首を絞められる”前には、相手が近づき、腕を上げ、そして首を絞める、というタイムライン(時間軸)の行動があるはずです。

眠っている時や不意打ちでない場合には、首を絞められる前に対処できることもあるのです。

・距離を取る

・手を払う

・打撃を打つ

最悪の事態になる前に行動を起こしましょう。

クラヴマガのテクニックは、最終手段であることを忘れてはなりません。

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HIDETSUGU OKUBO

ゼネラルディレクター&チーフインストラクター護身術 JET KRAVMAGA
1973年生まれ 株式会社JAM代表取締役。2013年ジェット・クラヴマガを設立。クラヴマガを指導するため、札幌、苫小牧、東京、千葉を往復する毎日。護身術/防犯/応急救護/ 詳しいプロフィールはこちら